庵治石は種類も多く一般の方では、見極めが非常に困難です。 お客様が安心して良質の庵治石と巡り合える様に原石の「産地証明書」、「製造証明書」が発行されています。
六百五十年余の歴史に磨かれた天下の銘石
庵治石の歴史は古く、安土・桃山時代には京都男山の石清水八幡宮再興、 江戸時代初期には高松城築城や大阪城大改築にも庵治石が使われたという史実があります。 庵治石が全国的に知られるようになったのは、大正時代から昭和の戦前にかけての時期。 採石や加工の知恵と技術、技能は長い歴史のなかで伝統の技として磨かれ、 その匠の技は、「天下の銘石・庵治石」とともに「庵治産地」の名を全国に知らしめてきました。
最大の特徴は世界に類のない「斑(ふ)」
きめ細かな地肌であるがゆえに風化に強く、磨けば磨くほど艶を増す庵治石。
その最大の特徴は、「斑が浮く」という現象です。
庵治石の表面は、黒雲母が入り混じったまだら模様です。
まだ粗い原石は、磨くほどに濃淡が浮き出て、平坦なはずの石の表面が奥行きを感じさせる二重のかすり模様を見せてくれます。
その模様は、高い山々にかすみたなびく雲、また屋島から舞い落ちる桜の花びらにもたとえられ縁起物としても珍重されてきました。
最高の庵治石を生み出す大丁場
庵治石の産地は、香川県の庵治町と牟礼町にまたがる霊峰・五剣のふもと。
ここには、一般の人が立ち入ることのできない神聖な”丁場”が50カ所ほどあります。
なかでも、最良質の庵治石が今なお大量に眠る宝庫—それが大丁場。
庵治石のなかの庵治石、それは大丁場から産まれる石です。
歴史と伝統に育まれた匠の技
庵治石は、その硬さゆえに職人泣かせの石と言われてきましたが、一方で庵治石の硬さは、石を加工する石工たちの技を高め、磨き上げてきました。
かつては、採石から加工、字彫りまで、すべての職人の手作業で行っていた石の製品づくり。
長い年月のなかで熟成されたその匠の技は、今のハイテク化した加工技術にも脈々と息づいています。
本物の強さ、美しさは変わることなく
お墓参りに行くたびに思うのは、同じ頃に建ったほかの墓石は、年を経るにつれて色があせ、艶もなくなり、風化していっているのに、うちの墓石がいつまでもきれいなこと。墓石は何度も造るものではないだけに、あの時「同じ造るならいいものを」と庵治石に決めて本当によかったと思っています。
購入の際、大丁場の採石現場から加工、仕上げまで、すべての工程を見学させていただき、庵治石が長い間、銘石として親しまれてきた理由が理解できました。庵治石の希少性はもちろん、製品ができるまでにこんなにたくさんの人の手を経て、丹念につくられているとは思ってもいませんでした。見学に来た方は100%庵治石に決めるという話にも、思わず納得です。